『過払い金返還請求』なら千葉の【弁護士法人心 千葉法律事務所】まで

弁護士による過払い金返還請求@千葉

お役立ち情報

過払い金の利息について

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年10月27日

1 悪意の受益者

過払い金返還請求権は、法律的には、民法703条以下に規定されている不当利得返還請求権になります。

民法703条は「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」と規定し、続けて704条は、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」と規定しています。

つまり、不当利得返還請求権とは、法律上の原因なく他人の財産等によって利益を受け、それによりその他人が損失を被った場合に、その他人が、利益を受けた者に対し、その利益の存する限度(これを現存利益といいます)においてその返還を請求する権利(利益を受けた者が悪意の受益者の場合は利益の全部に利息を付した金額の返還を請求する権利)、ということになります。

例えば、Aさんが、100万円を、返済期日1年後、年利20%の約定でBに貸し付け、Bが1年後に120万円(元金100万円、利息20万円)をAに返済したところ、年利15%を超える部分の利息の約定が法律上無効となった場合、Bは、利息として支払った20万円のうち5万円の返還をAに対して請求することができます(なお、その5万円をAが既に浪費していた場合は、現存利益がないとされる可能性があります)。

この場合に、Aが、年利15%を超える部分の利息の約定が法律上無効であることを知っていた場合、すなわち悪意の受益者である場合は、上記5万円に利息を付してBに返還しなければなりません。

過払い金返還請求権も、その内容は上記事例と同様で、利息制限法の上限利率を超える利率の約定に基づき貸金業者が受領した利息について、みなし弁済が成立せず、上限利率を超える部分の利息の約定が無効となったため、上限利率を超える部分の利息の受領には法律上の根拠がなくなった、すなわち貸金業者に返還義務が発生した、ということになります。

また、利息制限法の上限金利を超える利率で利息を受領していた消費者金融やクレジットカード会社等の貸金業者が悪意の受益者に当たるかどうかという点については、最高裁判所の判例によりこれらの貸金業者は原則として悪意の受益者とみなされると判示されました。

この原則を覆すためには、貸金業者側が証拠を提出して悪意の受益者ではないことを立証する必要がありますが、それは非常に困難であるため、現在の過払い金返還請求訴訟では、悪意の受益者の点が実質的な争点になることはまずありません。

2 過払い金に付される利息

悪意の受益者が受けた利益に付さなければならない利息は法定利率を適用して計算することになりますが、従来5%だった法定利率は、令和2年4月1日から3%に引き下げられました。

そのため、利息制限法の上限金利による引き直し計算を行った結果、令和2年4月1日以降に初めて過払いが発生している場合は、3%の法定利率が適用されることになります。

引き直し計算の結果、令和2年4月1日の時点で例えば100万円の過払いが発生しており、また、同日以降の返済で過払い金がさらに50万円増えた場合、その50万円付すべき利息について、3%が適用されるのか5%が適用されるのかについては、今後の裁判例の集積を待つしかありませんが、本稿の執筆者が取り扱った案件を前提とすると、裁判所は、このようなケースでは5%が適用されることを前提として裁判を進めている印象です。

理屈としては、各回の返済を別個独立のもの(返済毎に過払い金返還請求権が発生する)と考えれば令和2年4月1日以降の返済には3%が適用されると考えることも可能ですが、各返済を全体として捉えて、過払い金充当合意に基づく一個の過払い金返還請求権が発生していると考えれば、過払い金返還請求権が発生した時点の法定利率が5%であれば、過払い金返還請求権全体に5%の法定利率が適用されるべきことになります。

  • 電話法律相談へ
  • 選ばれる理由へ

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ