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期限の利益の喪失とは

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年9月7日

1 はじめに

Aさんが、甲銀行から、返済期限を1年後と定めて100万円を借り入れた場合、Aさんはその100万円を返済期限までは自由に使うことができます。これを「期限の利益」といいます。「期限の利益の喪失」とは、この期限の利益を失うことを意味します。

ここでは、過払い金返還請求において争点となることが多いこの「期限の利益の喪失」についてご説明します。

2 期限の利益の喪失

消費者金融やクレジットカード会社から借り入れをする場合、利用限度額の範囲内で借り入れと返済を長期にわたって繰り返すことが多いですので、その間、一度も返済期限に遅れずに毎月返済していた、というケースはごく少数です。

返済のスケジュールおよび原資の管理をしっかり行っていても、1、2回程度は遅れてしまうものです。

ところで、この返済について、消費者金融業者やクレジットカード会社との契約書などには、通常、1回でも返済が期限に遅れた場合は当然に期限の利益を失って残額を一括返済しなければならない、と記載されています。

この契約条項を適用すると、1回でも返済が期限に遅れると借入残高全額についてその時点から遅滞に陥ることになり、借入利率よりも通常高率の遅延利率による遅延損害金が発生します。

ただ、実務的には、返済期限に返済していなかったとしても、次の返済期限の前日までには返済しているケースがほとんどであり、その場合、貸金業者は、返済金の一部を遅れた期間について遅延利率で計算した遅延損害金に充当することはあっても、一括返済を求めることはほとんどなく、返済がなされた時点で通常利率に戻して取引を継続しています。

貸金業者がこのような取り扱いをするのは、取引を継続した方が、業者にとっても利益になるからです(一括返済を求めると、その返済は通常困難ですので、債務整理になってしまいます)。

3 期限の利益の喪失が主張される場面

しかし、過払金返還請求の場面になると、一部の貸金業者は、最初に返済期限に遅れた時点で期限の利益を喪失したと主張し、それ以降については通常利率ではなく遅延損害金利率の適用を求めてきます。

このような主張がなされるのは、利息制限法が規定する上限利率は通常利率よりも遅延利率の方が高くなっていますので、遅延利率が適用されると、過払金は通常利率で計算した場合よりも少なくなるからです。

この点については、貸金業者側の主張を認める下級審判決はほとんどなく、信義則によって業者の主張そのものを排斥したり、返済時点で貸金業者が期限の利益を再度付与したとして遅延日数についてのみ遅延損害金利率の適用を認める判決が大半です。

近時は、信義則の主張は排斥しつつ、後者(期限の利益を再度付与した)の主張を採用する判決が多くなっています。

なお、遅れた日数についてのみ遅延損害金利率を適用して過払い金を計算しても、すべて通常利率で計算した場合よりも数百円から数千円程度過払金が減るだけのケースがほとんどです。

ただし、遅延した回数が多い等の事情で遅延日数がかなり多くなる場合は、数万円程度減少することもあります。

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